恋するplants
俺と松ちゃん先輩で棒を立たせ、書が観客席に見えるように紙を起こした。
「ありがとうございました!」
柊部長の声で、拍手が沸き起こり、歓声が起きた。
ARAREのメンバーも清々しい顔をしている。
俺は丸太さんの方を向き親指を立てて、ウインクをした。
丸太さんは照れたように下を向くとにっこりと笑った。
前に見せてくてた笑顔だと思った。
★
ハプニングはあったものの、丸太さんの気転が効いたおかげで、書道部のラストパフォーマンスは大成功に終わった。
アイドル部のユニット、ARAREのメンバーと固い握手を交わし、俺たちは解散した。
書道部の備品をおじいちゃん先生が講師を務める区民会館に寄付し、俺たちはそれぞれ帰路についている。
まだ咲かない桜の木が並ぶ河川敷の舗道をみんなで歩いている。
男女に分かれて、丸太さんを含む女子が先を歩き、俺たち男子3人はその後を追うような形だ。
「それにしても丸太さんにびっくりよね。毎年、桜の咲かない桜まつりに初めて桜の花びらを撒いたのだから」