恋するplants
柊部長が満足そうに言う。
パフォーマンスが無事済んで、緊張の解けたにこやかな表情をしている。
クリリン先輩が相槌を打つ。
「ホント、部がなくなっちゃうのは悲しいけれど、最後に楽しい思い出ができてよかった~」
「丸太さんはどうだった?」
「はい、とても楽しかったです。書道って奥が深いんだなと思いました。白樺先生が自身が講師を務める市の書道教室に誘ってくださいました。ですから、私、これからも書道を続けようと思っています」
丸太さんは無表情に答えた。
さっき見せた笑顔は完全に消え去ってしまっている。
「白根くんは?」
柊先輩が振り返って俺を見た。
「俺も楽しかったです。丸太さんに誘ってもらって参加できてホント良かったです。俺も白樺先生の教室、丸太さんとお豆くんと一緒に通おうって思ってます」
「そうか・・・白根くんも豆田くんも続けるんだね。嬉しいな」
柊先輩はそう言うと前を向いた。
横を見ると桜並木に沿って川が緩やかに流れており、キラキラ光る水面とその上をヒラヒラと飛ぶモンキチョウが春の訪れを教えてくれているようだ。
「ひぃちゃん!」
鼻息を荒くして隣を歩いていた松ちゃん先輩が意を決して叫んだ。
名前を呼ばれた柊部長が立ち止まり、振り返る。