恋するplants
恋する学園アイドル

彼は友達



 ★


 駅の改札口を出ると暖かい春の風が髪をなびかせた。


 駅を出てすぐの所に佇む桜の大木が枝を揺らし、花びらがひらひらと舞う。


 春の匂いを感じながら、前を歩く同じ制服を着た生徒を見る。


 真新しい制服に学生カバン、胸の深緑のリボンとネクタイは新入生の印だ。


 これから始まる高校生活に期待と不安を抱えて、それでもみんなキラキラした眩しい表情をしている。


 私も1年前はあんな顔してたのかな・・・何だか1年過ぎただけなのにこの気持ちの変わりようは何なんだろう?


 すっかり老けてしまったみたいだ。


 ネガティブになっちゃいけないと首を振った。


 2年生になったんだから、生まれ変わった気持ちで新しい生活を送ろうと決めたんだから。


 春は始まりの季節なのだから。


 「ナズナ」

 
 名前を呼ぶ声がして振り返った。

 
 「おはよう」


 少し見上げるような感じで彼を見た。


 陶器のような白い肌にそれとは反対に真っ黒な髪と瞳。


 私に微笑みかけるその表情にとくんと胸が高鳴る。

 
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