恋するplants
学校が近づいてくると生徒が増えてくる。
前方にずんぐりむっくりした見覚えのある後姿を見つけ不機嫌になっていると、芹が暢気に、
「ナズナ、丸太さんとも同じクラスだったよね?」
と今、一番聞きたくない名前をさらりと口にした。
「マルタが何?」
思わず地が出てしまい、いけないと心の中で自分を抑えて芹を見る。
「丸太さん、ナズナのこと気に入ってるみたいだし、ああみえて面倒見いいからナズナも仲良くなれると思うよ」
「どうだか・・・」
私がそっぽを向いて答えると芹は苦笑いした。
その表情がはにかんでいるようにも見えたので、芹をじっと見つめた。
「何?」
「何でもない。芹おすすめのマルタが前を歩いてるわ」
ホントだと芹がほっこりとした表情を見せた。
まさかねと不安が胸を過ぎる。
私たちの会話が聞こえたのかマルタが私たちのオーラを察したのかわからなかったけど、校門を過ぎたところでマルタは急に後ろを振り返った。
「あら、春風(はるかぜ)さん、おはよう」
「おはよう」