恋するplants
コーヒー牛乳を飲みながら陽気な笑みを浮かべて小石川が近づいてきた。
どかりと自分の席に着くと、どうしたの?と隣の席に座った。
彼の名前は小石川椋(こいしかわむく)、1年の時から同じクラスで、クラスのアイドル的存在だ。
芹とも仲が良く、いつもへらへらしているようで周りに気を遣えるのも知っている。
私が1年の時、クラス中の女子に無視されていじけてたのを最初に気付いたのも小石川だった。
芹と同じく、彼も本音が言える数少ない友達の1人だ。
「新学期始まってから毎日、枯れた花が下駄箱に入ってるの。マルタが言うことにはビンボウ草っていうんだって」
「○○の嫌がらせか?」
「し、声が大きいって!」
思わず人差し指を口に当てて小石川の方を向いた。
「あ、ごめん」
新しいクラスメイトは幸いなことに私に普通に接してくれている。
女子全員から無視された1年の時のような経験はもうしたくない。
だから、生まれ変わった気持ちで頑張ろうって決めたんだ。
「そこ、私の席なんだけど、どいてくれる?」
後から教室に入ってきたマルタが小石川の後ろに立った。
気配がなかったのか、小石川はマルタが後ろにいたことに気付かなかった
らしい。
驚いたようにびくんと体を強張らせた。