恋するplants
「いきなり背後に立つなよな~、超びっくりしたじゃん。おはよう、マルタ」
小石川はおどけて席を立つとコンシェルジュのように椅子を引いて、どうぞお嬢様~とマルタに向かって言った。
マルタはフンと鼻を鳴らし、無表情で席に着くと、
「小石川、あんたの無垢で調子の良さ・・・高木檜を思い出すわ」
「名前が椋だけにって、おい!俺をあの学年1のお調子者と一緒にするなよな」
乗りツッコミ・・・なんだかんだ言って、小石川とマルタはいいコンビになってる。
2人の漫才を隣で見物する。
「そうかしら?似た者同士、親友になれるんじゃないかしら?」
マルタの一言に帰らせていただきますと宣言して小石川はプリプリ怒りながら自分の席に戻っていった。
★
下駄箱を開けてまたため息が出る。
今日も、ビンボウ草がそこにある。
今日は丁寧にリボンまで結わいである。
全く、毎朝毎朝嫌になる。
上履きを取って、ついでにビンボウ草を掴むと奥に封筒があるのに気付いた。
何だろう?と手に取る。