恋するplants
いつものようにビンボウ草をゴミ箱に投げ捨て、教室へと向かう階段を上る。
真っ白な封筒には「春風ナズナ様」と宛名が書いてある。
中を見ると親指と人差し指で摘める位の小さなi P○d が入っていた。
色はピンク。
聴けってこと?i Pod と一緒に手紙も入っていた。
「春風ナズナ様
初めまして、僕は3年C組出席番号13番、小山紫苑と言います。
突然のお手紙失礼します。
実は僕は以前から君をお慕いしております。
君を想っていたら曲ができました。ARAREのニューアルバムです。
是非、聴いてください 小山紫苑より」
「ARARE?小山・・・何て読むの?」
「アラレ、コヤマシオン、シオンっていうのよ」
「へぇ、シオンって読むのかぁ・・・ってマルタ!人の心を覗かないでよ!!」
教室に入ってきたマルタが平然とした顔でこちらを見ながら立っていた。
「おはよう、春風さん。言っとくけど、心を読んだワケじゃないわ。思い切り声に出てたわよ」
あっ、そう、だから何?いちいち突っ込んでくるなっつぅの!っていうか、この小山紫苑って人物をマルタは知ってるの?
「マルタ、小山紫苑っていう人知ってるの?何、ARAREって?」