恋するplants


 マルタの机に貰った手紙を置いて訊ねた。


 マルタは唇の片側を引き上げて、手紙を一瞥すると、肩に掛けていた学生カバンを机の脇に掛け、席に着いた。


 「ARAREというのはアイドル部という文化部のアイドルユニットで小山紫苑さんはユニットのリーダーよ。ニューアルバムっていうのは「HINA-ARARE」という自主制作されたCDで、進級祝いに出されたものよ」


 マルタは教科書を音読するかのようにさらさらと説明した。


 ぽかんとしてマルタの説明を聞いていると頭の上のクエッションマークに
マルタは気付いたのか、


 「あなたも選ばれた、去年の学校祭のベストカップル選挙、2年生の部でイケメンに選ばれた人、覚えてない?」


 「何となく・・・」


 そういわれると聞いたことある名前だけれど、顔がぼんやりとしていて想い出せない。


 思い出せないってことは私のタイプの顔じゃないってことかな。


 「ところで、何であんたはそんなに小山紫苑に詳しいの?」


 「学校新聞で今、アイドル部を取材しているのよ」


 そういえばマルタは新聞部と演劇部が合わさった意味のわからない部に入ってたなと思い出す。


 そして、確か芹も同じ部だったはず・・・そこで芹と仲良くなったんだな。


 芹は・・・と考えを巡らせていたら気分が悪くなったので二人の仲について考えるのを止めた。


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