恋するplants


 「絶対止めろ」


 「・・・ムック」


 おいっとマルタに向かって小石川が吠えたところで、待ちきれない様子の小山紫苑が小石川を小突いた。


 あぁと小石川が納得すると、


 「こちら、友達の春風ナズナ。春風は紫苑くんの事、知ってるんだよな?」


 小石川の問いに頷いて答えると、小山紫苑が少しだけ歯を見せてにこっと笑った。


 後ろの取り巻きの女の子たちがその笑顔にきゃ~といちいち騒ぐ。


 悩殺、アイドルスマイルと言ったところだろうか?バカみたい。


 笑顔だったら私も武器だ。


 「曲、聴きました。ありがとうございます。アイドル部として活動されてるんですね。これからも頑張って下さい」


 優しく微笑みながら、ちょっぴり声のトーンを上げた。


 素を知るマルタがフンと鼻で笑ったのが聞こえたけど、小山紫苑には効いたみたいだ。


 完全に口を開けて、私を見ているその瞳が恋してる。


 こんなんで引っかかるなんて単純な奴、心の中でそう思っている。


 小山紫苑はいきなり私の両手を握りしめた。


 「ありがとう!すごく嬉しいよ、春風さんにそう思って貰って」


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