恋するplants
興奮した彼の瞳はキラキラと輝いていた。
あら~、勘違いさせちゃったかな~?呆然としながら小山紫苑を見つめる。
取り巻きたちが紫苑くん手を離して~と嫉妬の入り混じった声を上げている。
「いえ・・・あの・・・手・・・・」
「え?あ、ごめん!僕ってば嬉しくってつい」
小山紫苑は慌てて手を離すと、ブレーザーのポケットから紙を取り出した。
「これ、今週のライブのチケット、よかったら・・・」
いらねぇし、何が良くてあの変な歌をわざわざ聴きに行かなくちゃいけないの?困惑していると、後ろからにゅっと手が伸びてきた。
「私にも1枚いただけないかしら?私、春風さんの友達で丸太すみれと言います。是非、新聞演劇部の取材をさせてくれませんか?」
今、友達とか調子いいこと言った?何だマルタ!
マルタがしゃしゃり出てきて小山紫苑はびっくりしたのかマルタと私の分のチケットを置いて、取り巻きに囲まれながら教室を後にした。
「あんたのせいでこんなの貰っちゃったじゃない!」
「何言ってるの、春風さんが調子いいこと言ってあの人を喜ばせたんじゃない。ま、見といて損はないと思うけど」
マルタは何事もなかったように重箱の弁当をつつき始めた。
マルタ、このやろう!と席を立ちそうになったところをまぁまぁと小石川
に窘められた。