恋するplants
「来たくなかったのに、強制連行されたの」
あいつが監視してるから逃げ出すこともできないとステージの近くで目を光らせている男子生徒を指差す。
「紫苑先輩って以外に強引なのね」
マルタがぼそりと呟き、会場(?)の様子を撮るためカメラを構えた。
急に辺りが静まったかと思うとどこからともなくカウントダウンが聞こえてきた。
10、9、8、7、携帯を取り出し、時間を確認したらもうすぐ16時だ。
6、5、4、周りの女子の声に興奮が入り混じっている。
3、2、1・・・・
バーーーンと入り口の扉が開き、隣にいた私はびくんと体が反り返った。
きゃ~~~~~とはちきれそうな歓声が上がり、ARAREが登場した。
ステージに向かって花道ができ、その花道を笑顔を振りまき進む。
時には女子生徒と握手をしながら。
彼らを見る彼女たちの目がもうハートになっている。
ARAREは春を意識してか衣装の中に淡いピンク色を取り入れている。
アイドルとかふざけたことを言ってたからもっとごてごての色分けされた奇抜な衣装を着るのかと思ったらそんなことはないみたいだ。
ステージにメンバーが揃うと更に大きな歓声が響いた。