恋するplants


 屋上ライブを見た日を境に小山紫苑の猛アタックが始まった。


 朝、教室に入ると私の机の上に手紙と苺ミルクが置いてある。


 手紙には「おはよう、僕の苺ちゃん」


 休み時間の度に小石川をだしに顔を出してくるし(3年生は校舎が違うのに)、その度に投げキッスや意味ありげな視線を送ってくる。


 彼の後ろにいる取り巻きは私をどう思ってるんだろう?考えるだけで怖かった。


 当の本人は全然気にする様子もない。


 ・・・うぜぇ~


 お昼休みを知らせるチャイムが鳴ると、机につっ伏した。


 疲れた~、最近は小山紫苑のせいで1日が長く感じるし、私を見る視線が
いちいち鬱陶しい。


 毎朝、下駄箱のビンボウ草の悪戯も続いてるし、ストレスは溜まる一方だ。


 ため息をついて、隣のマルタの方を向くとカバンの中から重箱の弁当を取り出して、席を立つところだった。


 「いつも何処で食べてるの?」


 声を掛けられたのに驚いたのかマルタは動きを止めた。


 「中庭よ。天気のいい日は新聞演劇部とプラス2人で食べてるの」


 「だから、雨の日はここで食べてたんだ。ていうか、何、プラス2人って?」


 「高木檜と草香よもぎよ。春風さん、草香に振られたから傷つくと思ってわざと名前を伏せてみたんだけど・・・失恋からはもう立ち直ったのかしら?」

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