恋するplants
目の前を歩いていたカップルが連れていたミニチュアダックスが私にじゃれてきたので、ここはかわいい女の子をアピールするチャンス!と思って「かわいい~」と子犬と戯れた。
芹、かわいいよ~と芹を振り向くと芹は青ざめた顔をしていた。
「ごめん、俺、犬アレルギーなんだ・・・」
あ、そう・・・ちっ・・・アピール失敗かよ・・・ダックスに素っ気なく別れを告げ、再びアイスをなめていると、芹が深刻な顔をして訊いてきた。
「今日さ、ナズナに買い物に付き合ってもらったのはさ・・・」
何?その深刻さは?・・・愛の告白?やっぱり俺はナズナのことが好きだったとか?
「・・・ナズナのこと友達だと思って話すけど、俺、好きな子が出来たんだ。で、その子に誕生日が近くて、プレゼントをあげたいんだよね・・・」
「は?」
★
「俺ってナズナ一筋だったから、今まで他の女の子なんて見向きもしなかったんだけど」
ショッピングモールを出た私たちは、港を歩き海を見ながらの散歩を楽しんでいた。
芹は私の数歩先を歩く。
「でもさ、気づいたら気になってたっていうか・・・う~ん、彼女がいたから俺も色々成長できたのかなって・・・」
後姿の芹の表情はわからなかったけれど、その話し方から相当照れてるんだろうなと察する。