恋するplants


  「痛い・・・コンタクトがずれちゃったみたい」


 慌てて瞼を押さえると芹が大丈夫かと駆け寄ってきた。


 痛いの目じゃなくて心だ。


 次から次へと流れてくる涙を飲み込んで、芹に向かって微笑んだ。


 「・・・頑張って、応援してる」



   
   ★




 「えっ?小石川、入院したの?」


 登校中の電車の中、つり革に掴まりながら隣の芹が答えた。


 「ゴールデンウィークに、中学校の友達とキャンプに行くって言ってたんだけど、誤って崖から落ちたらしい」


 「え?それで小石川はどうなったの?」


 「それ程高い崖じゃなかったみたいだけど、足を骨折したらしい。本人は元気そうで昨日の夜電話があったんだ」


 お調子者の小石川らしい、きっと羽目を外しすぎてこんなことになってしまったのだろう。


 後でお見舞いに病院に顔を出そう。


 「でさ・・・」


 芹は言いづらそうに言葉を続ける。


< 177 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop