恋するplants
彼は不在
「という訳で、小石川は暫らく入院することになった」
ホームルームで担任から改めて小石川が骨折したとの報告があった。
隣でマルタがお調子者だからとぼそりと呟いたのが聞こえた。
「さて、話は変わるが、中間テスト後にある球技大会の実行委員を決めようと思うのだが・・・」
無精ひげを生やし、よれよれのスーツを着た担任は面倒くさそうに頭を掻きながら、ぐるりと教室を見渡した。
「誰か立候補する奴いないか?」
中間テスト後の球技大会は毎年恒例の学校行事で、新しいクラスになってから初めてのこの行事は、クラスが団結してスポーツで汗を流すことが目的で、各クラス毎にお揃いのTシャツやゼッケンを作ったりと結構、手間をかけて行う。
「立候補がいなければ推薦でもいいぞ」
実行委員はクラスの代表で各種目に出る人を決めたり、大会の準備をしたり、当日は審判や得点係もしなくちゃいけない。
確か去年は誰もやりたくなくてクジで決めたんだよね。
誰が好き好んでそんな面倒くさい係、引き受けるかっていうの・・・
「春風さんがいいと思います」
後ろから声がして、思わず振り返った。
女子の1人が手を挙げて私の名前を言った。
ぽかんと口を開け、その子をまじまじを見つめる。
この子、なんて名前だっけ?名前が出てこない・・・