恋するplants


 「楠(くすのき)さんが春風さんをみんなが面倒くさがる実行委員にした理由よ」


 楠か、そう楠って名前だった。


 今朝、私を球技大会の実行委員に推薦した子。


 「嫉妬って?」


 そう訊ねるとマルタは重箱を床に置いて、ブレーザーのポケットから写真を取り出した。


 「この間のARAREのライブの時の写真なんだけど、ここ写ってるの楠さんじゃないかしら?」


 マルタが指差すところを覗くと、「紫苑」と名前の書かれたウチワを持った楠がばっちり写っていた。


 小山紫苑が私に付きまとってるのを見てムカついたってことね・・・完全な逆恨みだ。


 「一応、小山先輩には言っておいたわ。さっき、あなたを探しに教室に来てたから」


 「そう、それで奴はなんて?」


 「残念そうだったけど、暫らく教室に来るのは控えるみたい。小石川もいないしね」


 そう言いながら、マルタは重箱を抱えて箸を黙々と口に運ぶ。


 小山紫苑が教室に来なくなれば楠の機嫌も良くなるかな?借り作ったみ
たいで気分悪いけど、今回はマルタがいて助かった。


 「マルタ、ありがとう・・・」


 小山紫苑に伝えてくれて、一緒にお弁当食べてくれて。


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