恋するplants


 「あら、以外ね。ありがとうって言葉知ってたの?」


 マルタはじっと私を見ると片方の口の端をくっと上げて嫌味な笑いをした。


 やっぱ、こいつ、嫌な奴。




 
  ★



 
 放課後、人気のない廊下を1人歩いていた。


 チャイムが誰もいない教室に響く。


 そろそろ帰ろうかな?そう思ったところで何気なく廊下の窓を覗き込んだら、中庭のベンチに芹の姿を発見した。


 中間テストの最終日・・・そして今日はマルタの誕生日、芹、いよいよマルタに告白するんだ。


 階段を駆け下り、中庭に続く渡り廊下に出た。


 盗み見るなんて悪いと思ったけどやっぱり結果が気になってしょうがない。


 校舎の扉に隠れ、顔だけひょっこり出す。


 ここからだと距離があるので、何を話しているかはわからないけれど芹の表情は解る。


 芹は緊張した面持ちで、ベンチに座っている。


 その隣にはずんぐりむっくりしたマルタが座っている。


 マルタは芹の方を向いていたので、私がいる所からだと顔は見えない。

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