恋するplants
「何、ジロジロ見て」
とマルタが訊ねてきた。
「芹と付き合うことになったんだってね」
口元に手を当てて小声で囁くとマルタは顔を真っ赤にした。
告白が上手くいったことは芹からメールを貰って知っていた。
マルタも照れたりするんだなと可笑しくなってきた。
「髪切ったら丸太さんと姉妹みたいじゃない?」
ウケル~と笑い声が聞こえ、思わず振り返って楠を睨んだ。
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「球技大会の種目を後ろの黒板に貼っておくので、1人最低でも2種目出るように名前を書いて下さい。もし、希望の競技に人が殺到するようでしたら、クジで決めますので」
ホームルームの時、そんな風に言ったのは3日前、プリントの提出日は明日の放課後だ。
各種目とも男子の名前は埋まり、誰がどの競技に出るか決まったのに、女子の種目は空欄のままだ。
いや、私とマルタの名前だけ寂しく書かれている。
いよいよあからさまに解るように楠の嫌がらせが始まった。
楠を中心として、クラスの女子の無視が始まったのだ。