恋するplants
マルタは淡々とした口調で言う。
見透かしたように言ってんじゃねーよ。
心の中で悪態をつき教室に向かう。
「球技大会の女子の種目、出る人、決めといたわ」
「え?」
すれ違い様にマルタがぼそりと囁く。
思わず間の抜けた返事が出てしまった。
「幼稚な嫌がらせが続いてたみたいだから。私が決めといたわ。新聞部だし、種目別に部活動に所属してる経験者と元経験者を調べたの。各種目毎、経験者は3人まで出られるからそれを踏まえて適当に振り分けてみたの」
「そんな勝手に?明日、楠たちが何て言うか・・・」
「そんなの関係ないわ。希望を書かなかった人が悪いもの。球技大会は全員参加の学校行事だし・・・」
おどおどしながら視線を泳がせる私をマルタはまっすぐに見た。
「クラスの雰囲気を悪くする人って好きじゃないの」
「マルタ・・・」
私がクラスの女子に無視されてるの見てそう言ってくれてるの?やばい、マルタごときの言葉に感動してどうする。
眉根に力を入れて、涙腺が緩みそうになるのを堪えた。
階段を足早に上がると、マルタが後ろから春風さんと名前を呼んだ。
振り返らずに立ち止まる。