恋するplants
「運動神経はいいの。意外に」
マルタが無表情に私の顔をマジマジと見つめる。
何?と睨み返すと、
「笑っていればかわいいなと思って」
マルタがぼそりと呟く。
「何、急に?」
思わず照れてしまいそっぽを向く。
「黙って笑ってればの話よ」
「嫌味言ってんの?」
横目でジロリとマルタを見る。
マルタは体育館の反対側のコートを見ていた。
体育館はネットで半分に区切られ、こちら側ではバスケットボールの練習、向こう側ではバレーボールの練習が行われている。
向こう側のコートに円になってバレーボールのパスの練習をしている小山紫苑が目に入った。
「私、あなたのずけずけ物を言うところ嫌いじゃないわ。最近はおとなしいけれど。きっと小山先輩ならあなたの顔だけじゃなくて、中身も好きになってくれると思うわ」
「何それ、何であいつが出てくるワケ?」
マルタは何も言わなかった。
私はバレーボールをする小山紫苑を眺めた。