恋するplants


 掛け声を上げながらパスを受ける小山紫苑は爽やかだ。


 端には彼の取り巻きの女子たちが奴がボールを受ける度に歓声を上げている。


 最近はめっきり教室に現われなくなった。


 校内で会うことはほとんどないし・・・私のことなんて忘れちゃってるのかもしれない。


 私がここにいて、仲間と笑い合う小山紫苑を遠くから眺めてるなんて、本
人はしらないのかもしれない。


 ぼんやりとしていると隣のマルタが立ち上がった。


 「さ、もう一勝負。昼休みが終わっちゃうわ」


 マルタが左手にボールを持ち、右手を差し出した。




  ★



 
 球技大会は2日間の日程で行われる。


 澄み切った青空の下、大会は2日目を迎えた。


 実行委員の私は、あっちにいったりこっちに行ったりと忙しなく働いた。


 クラスもまとめ役の小石川が不在にも関わらず、男子は1日目に行われたバスケットボールで3位に入賞した。


 なかなか頑張っているみたいだ。


 校庭の奥にある体育倉庫にソフトボールで使ったベースを片付けていると、

< 197 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop