恋するplants


 「春風さん」


 と名前を呼ばれた。


 振り返ると、小山紫苑がスポーツドリンクを片手に立っていた。


 なんでここにいるの?と訊ねると、さっきベースを抱えて倉庫に向かう姿を発見して追いかけて来たのだと答えた。


 取り巻く女子はいないかと周囲を見渡す。


 どうやら小山紫苑1人みたいだ。


 小山紫苑が片付けを手伝ってくれ、体育倉庫を出た所でスポーツドリンクを渡された。


 「どうも」


 お礼を言うと彼は満面の笑みを返した。


 小山紫苑は首にかかったタオルを取ると、


 「石灰ついちゃってる」


 と私の頬を拭いた。


 間近で見るとその顔のキレイさを改めて感心する。


 茶色がかった目と高い鼻・・・芹ほどではないけれど、肌もキレイだ。


 どういうスキンケアしてるの?小山紫苑の顔をマジマジと見ていたら、目が合い思わず逸らした。


 「ごめん、何か調子に乗ったことして。でも、キレイになったから」


 「ありがとう」


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