恋するplants


 小山紫苑がタオル越しに触れた頬を触りながら答えた。


 うんと彼はまた爽やかな笑みを見せた。


 サッカーの予選が行われている校庭の端を小山紫苑と並んで歩いた。


 身長は175cm位?細い割にはちゃんと筋肉がついてるな。


 ダサい学校のジャージも着こなしちゃうんだな。


 金魚のフンみたいな取り巻きのファンがいないと不思議な感じがする。


 「春風さんは何に出るの?」


 「これからバスケットボールの予選があるの」


 「そっか。残念だな~、俺、バレーの決勝戦があるから応援に行かれないよ」


 「いや、来なくていいです。それよりバレー勝ち残ってるんですね。すごい」


 小山紫苑は顔の近くでVサインを作った。


 Vサインを作った右手の中指がテーピングされていた。


 「あ、これ、突き指しちゃって・・・」


 照れたように小山紫苑は言った。


 バスケットボールの予選が行われる第1体育館の前で小山紫苑と別れた。


 「じゃあ、お互い頑張ろう」


 爽やかに手を振る小山紫苑に手を振り返して、バレーの決勝戦が行われる第1体育館の隣にある第2体育館の入り口に消えていく彼の背中を見送った。


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