恋するplants


 柏を横目で見ていると、発射ベルが鳴り、慌てて駆け込んできた女子高生たちが柏の目の前の席にどかりと座った。


 どこかで見たことある顔だなと思ったら、先週、電車の中で見かけた女子高生だった。


 お婆さんが横にいるのも気付かず、携帯をずっといじっていた人たちだ。


 女子高生は3人組みで、優先席に座り、カバンを開けて化粧をし始めた。


 何となく嫌な感じがして、場所を移ろうかなと柏を見ると柏は目の前に座る女子高生を凝視していた。


 化粧をしている様子が気になるのだろうか?


 そんなにガン見してたら、何か言われるって!


 ドキドキしながら柏の様子を伺った。


 目の周りを黒く塗りたくる女子高生の様子を柏は興味深く見ていた。




 電車が次の駅で停車すると、お腹の大きな妊婦さんが入ってきた。


 車内をくるりと見渡すけれど空いてる席はない。


 妊婦さんは大きなお腹を擦りながら柏の隣のつり革に掴まった。


 あぁ・・・またこのシチュエーション・・・当然のごとく、彼女たちは自分の化粧に夢中で、妊婦さんには目もくれない。


 しかもそこは優先席だろうが!心の中で葛藤する。


 このまま、また何も言えずに終わってしまうのか。


 「あのさ、お前らここ優先席だって知ってる?」

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