恋するplants
彼の決意
★
第2体育館ではバレーボールの決勝戦がいよいよ大詰めの様子だ。
点が入る毎に歓声が上がる。
得点版の近くに陣取るクラスの女子を確認した。
彼女たちは小山紫苑の応援をしているようで、名前入りのウチワを持ち、小山紫苑がボールに触る度に黄色い声をあげていた。
バッカじゃないの?自分たちの試合ばっくれてここで何してるんだよ。
ますますイライラが募る。
試合の邪魔にならないように体育館の隅を突っ切り、楠の前に立ちはだかった。
楠は私の顔を見ると気まずそうな顔をした。
「ちょ・・・何?」
楠の腕を無理矢理掴み、体育館を出る。
その様子を見て焦ったクラスの女子も後から私たちの後についてきた。
「痛いってば、離してよ!」
体育館を出た渡り廊下で楠は腕を振り払った。
その表情が驚きで動揺していた。
「バスケットの予選に何で来なかったの?」
なるべく冷静に楠の目をじっと睨んで訊ねた。
楠はふっと目線を逸らし、質問には無視した。