恋するplants


 ★


 屋上へと続く階段の踊り場でお弁当を広げていると、マルタが階段を上ってきて、私の隣に座った。


 重箱のようなお弁当箱の包みを解いている。


 「春風さんってここが好きなのね」


 「別に好きってワケじゃないけど」


 教室に私がいるだけでピリピリした雰囲気になるのに、昼休みくらいは1人で落ち着きたいだけだ。


 「口の傷、大丈夫?」


 私は返事をせずに頷いた。


 「小石川、退院したんですって。明日から登校するらしいわ」


 「ホント?」


 「芹くんが言ってたもの」


 小石川、戻ってくるんだ。


 小石川のあどけない笑顔を思い出し、少し和む。


 ・・・つーか、何で私には教えてくれないの?私も一応、友達なのに!芹には報告しといて。


 て、ゆーか、マルタ、今、芹のこと名前で呼んでなかった?前は「白根くん」って苗字で呼んでたのに。


 名前で呼ぶよね~、付き合ってるんだもんね~。


 じゃあ、芹はコイツを「すみれちゃん」って呼んでるの?げーっ!!

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