恋するplants


 勝手な想像を巡らせて、眉間に皺が寄っていたらしい。


 マルタに「すごい顔してるわよ」と指摘されて気付いた。

 
 芹への失恋も楠とのわだかまりも小山紫苑への失望も・・・色んな思いが私の頭の中でぐるぐると回っていて疲れる。


 「楠さんが春風さんは周りを見下してるって言ってたじゃない?」


 ふいにマルタが口を開いた。


 ふと目線を向けると重箱の中はほとんど空だった。


 食べるの早っと思いつつ、マルタを見つめる。


 「あれは楠の僻みで、私はただ楠に興味がないだけだよ」


 マルタは私を見つめ返した。


 「・・・興味がない。クラスメイトなのに?少なくても1年は同じクラスで勉強をする仲間でしょ?」


 仲間・・・マルタの言葉が突き刺さる。


 ・・・確かに、楠が私を球技大会の実行委員に推薦した時、彼女の名前が出てこなかった。


 でも、それは1年の時に女子に無視されたトラウマがあったからで・・・


 「春風さん、1年のクラスで嫌な思いをしたらしいけど・・・」


 「それも芹が言ってたの?」


 マルタはこくりと頷いた。


 何でマルタに言うのよ。


 触れられたくない部分なのに。

 
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