恋するplants
え?
突然の声に後ろを振り向くと、柏が女子高生の持つ鏡を取り上げていた。
女子高生たちも柏の言葉にぽかんと口を開けている。
「後ろに書いてあるだろ?優先席って。バカでもわかるように絵もついてるだろ?こういう人に席を譲りましょうって」
柏が淡々とした口調で窓に貼ってある優先席と書かれたステッカーを指差す。
女子高生たちの眉間に皺がよっていくのがわかる。
怒ってる、この人たちめっちゃ怒ってるよ~。
私は思わず目を瞑った。
「な・・・何なの、このガキ」
「ムカつくんだけど」
車内に緊張感が走る。
誰も沈黙したままだ。
柏の目の前に座る女子高生が柏が取り上げた鏡を乱暴に掴み取った。
柏はびくついた様子もなくしれっとしている。
「そんなに目の周り塗りたくってパンダになりたいのかよ?黒く塗りすぎて周りが見えてないんじゃねぇの?」
柏がとどめの一発を女子高生に発射した。
それミサイルですよ、柏さん!
ヤバイ、緊張感に耐えられない・・・。