恋するplants


 お弁当箱を膝に乗せたまま、溢れてくる涙を手の甲で覆った。


 マルタは何も言わずにガーゼのハンカチをスカートのポケットから取り出し、渡してくれた。


 しんと静まった空気の中で私の嗚咽交じりの泣き声が響く。


 本当はマルタが羨ましかった。


 周りに何を言われても堂々していて、自分の意思を通す姿が、芹が何でマルタを好きになったかが解る。


 自分にないものをたくさん持ってるマルタに嫉妬してた。


 自分が卑怯なのは知ってる。


 高慢な態度を取って相手を見下してたんだ。


 でも、本当は・・


 「ホントはクラスの女子と仲良くなりたくて・・・でも、輪の中に入っていくのが怖くて・・・」


 ぽつりぽつりと自分の気持ちをマルタに打ち明けた。


 マルタは重箱のお弁当をたいらげると、私の肩を抱き、話に耳を傾けてくれた。


 半そでのシャツから出たふくよかな腕は、とても心地良かった。


 お母さんみたいなのにミルクの様な甘い香りのするマルタが赤ちゃんに思えて可笑しかった。


   
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