恋するplants
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教室に入ると最近の殺伐とした雰囲気を打ち消すように、教室の真ん中に人だかりが出来ていた。
輪の中心に小石川が笑っていた。
人懐っこい笑顔を浮かべて談笑している。
小石川が戻ってきた。
私が教室に入ってきたことで、数人が気まづそうにちら見する。
私は誰に声を掛けることもなく、自分の席に着く。
「あ、春風、久しぶり。元気だったか?」
小石川がこちらを向いて微笑んだ。
いつもと変わらない、小石川のあいさつに胸がじんとなる。
ちょと失礼と小石川は松葉杖を脇に挟み、まだ慣れていない手つきでびっこを引きながらこっちに向かってきた。
右足のギブスが痛々しい。
「もう、大丈夫なの?」
「おぅ、心配かけたな!暫らくはこんな姿だけど、問題はないさ」
小石川は松葉杖の先でギプスを指しながら笑顔で答えた。
小石川のギブスはみんなの寄せ書きで埋め尽くされている。
「色々大変みたいだったな。今日からは俺がいるから安心していいよ」
「ありがとう。小石川いなくて寂しかった」