恋するplants


 「ちょっと、来て」


 6時間目の終了のチャイムと共に、楠と取り巻きの女子たちが私の机を囲んだ。


 帰宅の準備をしていた私は目をぱちくりさせた。


 状況が飲み込めなかった。


 楠と話したのが球技大会ぶりだったからだ。


 「何?」


 「いいから」


 苛立ったような口調で楠は答えた。


 訝しがりながらも楠の後を追って教室を出た。


 教室を振り返るとマルタがこちらをじっと見つめていた。

 
 楠は私を体育館の裏へと連れてきた。


 校舎からも校庭からも死角になる場所で、仲直りをするワケではないんだなと淡い期待は打ち消された。


 楠を筆頭に女子たちがぐるっと私を囲んだ。


 「紫苑様がARARE辞めてしまうの知ってた?」


 私は声を出さずに頷いた。


 「紫苑様にとってアイドル部は将来、アーティストとしてデビューするためのステップだったのに・・・紫苑様にとってARAREはすごくかけがえのないものなの」


 「あんたがそそのかしたんだしょ?」

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