恋するplants
「もう、紫苑様の前をうろつかないでよ!」
「だいたいさ、男の前でぶりっ子なんだよ」
「声違うよね~」
・・・私が何したっていうの?そろそろ我慢の限界かも・・・
「いい加減にしなさい」
輪の中にマルタが乗り込んできた。
体育館の影から勢いよく突進してきたマルタに女子たちがたじろぐ。
「楠さん、前回で懲りたでしょ?こんな小学生っぽいこと辞めなさい。集団で1人の人を責めるなんて卑怯よ」
楠はぎゅっと唇を噛んでマルタを睨んでいる。
「オカンの登場か・・・」
誰かがぼそりと呟いた。
マルタは眉をぴくりと動かすと、
「あら、柳(やなぎ)さん、ステキなあだ名、ありがとう」
マルタは表情を変えずに柳(初めて知った、ARAREのファンの子。同じクラスだったっけ?)という子の手を握った。
「ギャッ!・・・ゴキゴリ!!」
彼女は手に乗せられたものを勢いよく振るった。
「安心しなさい、偽物だから。もともとあなたたちの仕業でしょ?持ち主に返しただけだわ」
マルタかっこいい!救世主のように現われたマルタに見とれてしまった。
大丈夫?と手を差し伸べるマルタの手に答えて・・・