恋するplants


 「マルタ、危ない!」


 これまで何もしなかった楠が体育館の壁に立てかけられていたパイプ椅子を掴みマルタ目掛けて振りかぶった。


 「やめて!!」




 
  ★




 ガン


 何かに当たった鈍い音がした。


 思わずぎゅっと瞑った目をおそるおそる開く。


 ふわりと風にのっていい香りがした。


 嗅いだことのある香水の匂いだ。

 「・・・紫苑様」


 まず初めに青ざめた楠の顔が目に入った。


 次に後ろの方に倒れたマルタ。


 何でマルタがあんな所に?


 「春風さんも丸太さんも無事で良かった」


 爽やかな笑みが視界に入る。


 小山紫苑?小山紫苑の顔を確認すると声が出なくなった。


 彼の白くてキレイな顔が血で染まっていたからだ。

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