恋するplants
しんとする車内で、誰かがくすっと笑った。
その笑い声をかきっかけに車内のあちこちでクスクスと笑い声が漏れ出す。
それと同時に女子高生の顔がみるみる赤くなっていった。
女子高生たちは立ち上がると、マジ、ムカつく!とか死ね、ガキ!とか悪態をつきながら隣の車両に移動して行った。
当の柏は女子高生たちの悪態もクールに受け流すと、
「空いたみたいなので、どうぞ」
妊婦さんに向かって言っていた。
「ありがとうございます」
妊婦さんはお礼を言うと気まずそうに優先席に座った。
もうちょっと言い方考えてよ。
ストレートすぎる!
喧嘩になるんじゃないかと冷や冷やしていた私はホッと胸を撫で下ろした。
車内の人の視線が柏に注目しているのがわかる。
その視線がどういう意味で向けられているのかはわからなかったけど、私は早くこの場を立ち去りたい気持ちでいっぱいになった。