恋するplants


 楠は号泣し、首を横に振った。


 どうかしていた、ごめんなさいを狂ったように連呼している。


 周りにいる子たちも気まずそうに視線を泳がしている。


 「僕はアイドル部でARAREというユニットが大事だし、僕が作った曲を聴いてくれてライブにも駆けつけてくれて、君たちのようなファンの子には感謝し僕にとってかけがえのないものだって思っている」


 小山紫苑はじっと楠を見つめた。


 「今回、解散という決断をして君たちを悲しませてしまったことは本当に申し訳ないと思っている。でも、僕も1人の人間なんだ。恋だってする。僕の好きな人にこんなことをするなんて悲しいよ」


 好きな人・・・その言葉が胸に疼く。


 「僕は3年間、ARAREとして活動してきてその集大成をラストライブで魅せるつもりだ。最後だから、僕のお願い訊いてくれるかな?ラストライブはみんなで盛り上がろう!」


 小山紫苑がにっこりと微笑むとファンの子たちが次々に泣き出した。


 小山紫苑は優しく慰める。


 とりあえず、保健室にと騒ぐ女子たちの言う通りに小山紫苑は腰をあげた。


 私に振り返ると、


 「最後だから、このライブが終わったら君に付きまとうのは止めるから、来てくれるかな?」


 シャツのポケットからよれよれになってしまったチケットを差し出した。


 頷いてチケットを受け取ると小山紫苑は爽やかな微笑みを見せた。


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