恋するplants
小石川は松葉杖を器用に使いながら体育館の隅をステージ側へと進む。
真っ暗な体育館内は熱気に包まれている。
ステージにはARAREの5人が舞い、ファンたちがペンライトで答えている。
以前、小石川が訊いて大爆笑していた♪ラビューラビューの曲を歌っているようだ。
小石川はステージの後ろから2階へと上っていった。
並べられたパイプ椅子の1つにマルタが座り、一眼レフを構え、シャッターを切っていた。
「特等席を用意してたのに、もうすぐライブも終わっちゃうぜ」
小石川は空いてる椅子に腰掛けると私に隣に座るように促した。
私はそれに従う。
上から見下ろすステージに立つ小山紫苑はキラキラと輝いて見えた。
ペンライトを持ち、ジャンプをしながら一緒に歌う女子の姿も見えた。
みんな汗でぐっしょりになりながら、ARAREを見守っていた。
歌が終わると、5人は水を飲み、タオルで汗を拭きながら、舞台の中心に集まった。
どうやら今のが最後の曲だったらしい。
流れる汗を拭いながら、小山紫苑がマイクを手にした。
「みんな、今日は僕たちのラストライブに来てくれて本当にありがとうございました」
小山紫苑と他のメンバーたちは深々と頭を下げた。