恋するplants

向日葵



  ★


 映画が終わるとそそくさと映画館を後にした。


 周りを確認しながら雑踏の中に出るといつの間にか桂さんの手を引いていたようだ。


 私、何やってんだろう?と冷静になり、ぱっと手を離した。


 「す・・・すみません、私」


 「気にしないで。て、ゆぅか、きのこちゃん、ホント怖いのダメなんだな。映画の最中も終わってからも妙にそわそわしちゃってさ」


 「ごめんなさい・・・」


 そわそわしてたのはわらびに見つかるのが怖かったからだ。


 本当は映画の内容なんてほとんど覚えていなかった。


 「俺の方こそごめんね。苦手な映画につき合わせちゃって」


 首と横に振ってそんなことありませんと否定すると、桂さんはにっこりと笑った。


 「よし、じゃあ、スッキリしに行きますか?」


 「え?」


 桂さんに手を引かれながら、私たちは公園の中へと向かった。


 桂さんはレンタサイクルで二人乗りの自転車を借りると、前に跨り、後ろに乗ってと促した。


 真っ赤な自転車だった。


 自転車の後ろに跨ったのを確認して、


 「出発」

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