恋するplants


 「手、繋いでたのは誤解だよ。あの人は檜のお兄さんだよ。映画のチケットが余ってるっていうから一緒に行っただけ」


 「・・・そう。よかった、何でもないんだ。わらびの勘違いなんだね」


 わらびはほっとした表情になり息を吐いた。


 何でもないことはない。


 1度だけ浮気をしてしまった。


 わらびに話してみようかな?どうしたらいいかって・・・


 「ひのきんがいながらそんなことしちゃうなんてサイテー!しかもお兄さん!?」


 大きな目を見開いてそう言うに決まってる・・・ダメだ・・・言えないよ。


 「ごめんね、きのこ。もしかして、ひのきんと何かあったのかなって心配しちゃった」


 「・・・大丈夫だよ」


 力なく笑うとわらびは恥ずかしそうに頭を下に向けて謝った。



 嘘をついた訳じゃないんだけど、公園の入り口でわらびと別れて、家に帰る途中、後ろめたくてなんとなく気分が落ち込んでいた。


 ワンピースのポケットにいれた携帯が着信を知らせた。


 メールだ。


 (今、家に着いた。今日は付き合ってくれてありがとう!)


 桂さんからだ。

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