恋するplants


 檜はハンカチを受け取ると額の汗と拭った。


 コーラの缶を開けるとぐびっと一気に飲み干した。


 ゲブッ!炭酸を飲んだ檜は豪快なゲップをした。


 近くにいた電車待ちをしていたおばさんがいかにも嫌そうな顔をして檜を見た。


 隣にいるのが恥ずかしい・・・それに・・・


 檜をじっと眺めてたら何だ?きのこも飲むか?と缶を差し出してきたのでいらないと首を振った。


 「あの・・・檜、昨日、夜のバイトだった?」


 「そうだけど、何で?」


 「気を悪くしたらごめんね。檜の体からラーメン屋の匂いがする・・・」


 何て言ったらいいんだろう。豚骨を煮込んでるというか動物系の脂というか・・・そんな匂いが檜から漂っている。


 「マジか!?ごめん、昨日、バイト終わって帰って来たらいつの間にか寝ちゃっててさ、起きたら約束の時間ギリギリで、シャワー浴びずに来ちゃったんだけどそんなに匂う?」


 汗の匂いと混じって大変なことに・・・よかったらと香りつきのシートを差し出した。


 檜は受け取り、その代わりにハンカチを受け取った。


 檜は人目も気にせず体を拭きだした。


 久しぶりのデートだったから先週わらびと出掛けたバーゲンで見つけたかわいいワンピースを着てきたのに・・・せめて、シャワー位浴びてきてよ。


 心の中でそうぼやきながら、檜に聞こえないように小さくため息をついた。

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