恋するplants
今いる場所を告げると桂さんは電話の向こうで頷きながら、
「たぶん、15分くらいで行けると思うから、その辺ぶらぶらしてて」
「え?」
来てくれるんですか?
「いいです。気遣ってくれなくて・・・」
そう言ったものの、すでに電話は切れていた。
★
「ごめん、待たせちゃったね」
プラネタリウム館の入り口、噴水の前のベンチでぼんやりと吹上がる水しぶきを眺めてると、噴水の向こう側から桂さんが現われた。
「すみません、何か気を遣わせてしまって・・・」
慌てて立ち上がり、桂さんと対峙する。
桂さんは爽やかに笑みを浮かべて、額から流れる汗を背中に斜め掛けしたバッグの中から取り出したタオルで拭いた。
「なんか、きのこちゃん謝ってばっかり。気にしなくていいよ。丁度、この辺の現場だったから良かったよ」
「すみません・・・」
「また」
そう言うと桂さんはフッと笑った。