恋するplants


 松林を抜けて、バス停へ向かう途中、ぽつぽつと雨が降り出した。


 小走りで屋根のあるバス停へ向かった。


 「次のバス、1時間後だって。タイミング悪かったな~」


 桂さんが顔をしかめながら時刻表を確認した。


 丁度、バスが行ってしまった後だったらしい。


 バスの運行は1時間に1本。


 事前に確認しなかったことを桂さんは詫びた。


 気にしないで下さいと答えて2人してバス停のベンチに座った。


 屋根があるのがありがたかった。


 雨は今では本降りになってきている。


 「仕方ない、近くに店があるわけじゃないし、ここで待つか」


 諦めたように桂さんが呟く。


 バス停の後ろに公園にあるようなベンチ1つ、海風と雨を防ぐための壁と屋根の簡素な待合室で私たちは次のバスが来るのを待つことにした。


 ばしゃばしゃと地面を叩きつける雨の音が聞こえる。


 桂さんはさっきから黙ったままだ。


 こんなに雨の音が激しかったら何話しているかもわからないけど、沈黙ってなんか緊張するな・・・不意に桂さんが寄りかかってきて、「きゃ」と小さな声を上げた。


 隣を振り向くと桂さんが私の肩に頭を乗せて寝息を立てていた。


 
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