恋するplants


 「じゃあ、5時くらいに終わるからショッピングモールで時間潰してて」


 「うん、わかった」


 電話を切ると罪悪感が残った。


 久しぶりに檜と過ごす夜、きっともっと檜と話せたら今あるもやもやした気持ちも晴れるかもしれない。


 檜と一緒に夜を過ごしたことは前にも何回かある。


 とは言っても、部活の合宿がてら先輩の家に泊まったり、終電逃して野宿したりロマンティックでもなんでもないんだけど、1晩中、檜と一緒に入れることがただ嬉しかった。


 とりとめのない話をしたり、檜の変な癖を発見したり、最近はろくに会話もしてない気がしてる。


 寂しい気持ちを桂さんで埋めようとしてる。


 そんなんじゃダメだ。


 2人とも傷つけてしまうかもしれない。


 明日は檜をとことん話そう。


 寂しい気持ちも伝えてみよう。




  ★




 檜の働くラーメン屋さんの近くには大きなショッピングモールがある。


 ショッピングモールの入り口にはレンタルビデオショップがある。


 今夜は映画でも見ようかな?ふらっとお店に入るとカウンターに知っている顔を発見した。


 「きのこちゃん?」

< 273 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop