恋するplants


 檜がシェークが飲み終わるのを待って、同じ敷地内にあるスーパーマーケット内へと向かう。


 今夜の夕食は檜のリクエストのハンバーグ。


 スーパーマーケットの中をカートを押しながら、品物を物色する。


 檜が隣で歩くと新婚さんみたいと想像してしまう。


 「え~、何でニンジンも買うの?」


 「サラダに入れようと・・・」


 「生ならなおさら却下。俺、ニンジン嫌いだし」


 「好き嫌いすると大きくなれないよ」


 と言っても、私より20cm以上、背の高い檜に言っても説得力ないか・・・新婚というよりお母さんと子供?なんか違う感じだし。


 「映画見る時のポテチ見てくる」


 お菓子コーナーに向かう檜の背中を見て、ため息をつく。


 本当に子供なんだから。


 買い物を終えて外に出ると、さっきよりだいぶ雲行きが怪しくなってきている空を見上げた。


 「家に着くまで降らなきゃいいけどな~」


 両手に買い物袋をぶら下げた檜が呟く。


 「ま、台風来ても今日はずっと俺が一緒だから、安心しなよ」


 うんと頷くと無邪気な笑顔を見せる檜にずきんと胸が痛くなった。


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