恋するplants


 「きのこちゃん、ソファに座って」


 桂さんが懐中電灯の光で手当てをしてくれた。


 手が触れるとさっきのことを思い出してまたドキドキしてきた。


 「・・・ドキドキする・・・」


 桂さんが先に口を開いた。


 心の中を覗かれてしまったようで暗闇の中で桂さんを見つめた。


 桂さんが私の視線に気付き、懐中電灯を消した。


 「ダメだな、俺って。きのこちゃんは檜の彼女。いつも言い聞かせてるのに。こうして隣に座ってるとめっちゃキスしたくなるし」


 「え?」


 照れたように桂さんは笑った。


 「最初、会った時のこと覚えてる?」


 「花火大会の時、雨の降る橋の下で」


 そう、その日も雨だった。


 桂さんと会う時って雨のことが多い。


 「実はさ、傘を差しながら河川敷を歩くきのこちゃんを川沿いにあるカフェから見てたんだ。あの子、何してるんだろうって気になって。ずっといるから、声掛けたくなってさ。でも、ちょっと恥ずかしくてさ、コンビニでチューハイ一気してきのこちゃんの所にいったんだ」


 「そうだったんですか・・・」


 
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