恋するplants


 檜の手から買い物袋が落ちた。


 炭酸のボトルが袋の中から床に転がった。


 慌てて桂さんの体を引き離す。


 桂さんも事態を把握したのか青ざめている。


 「檜・・・」


 「最近、仲いいのは知ってたけど、俺の知らないうちにそんなことになってたのかよ」


 檜から今まで聞いた事ない冷たい声が出た。


 怒ってる。


 違うのっそう言えばいいのだけれど、そしたら桂さんのことも傷つけてしまう。


 「・・・否定もしないのかよ」


 「檜、ゴメン、俺・・・」


 「兄貴も兄貴だよ。何できのこなんだよ!」


 檜が声を荒げた。


 「ちくしょう!!」


 檜は叫びながら転がったペットボトルを蹴るとそのまま、家を飛び出してしまった。


 「檜、待って」


 檜を追いかけて玄関に向かったけれど檜は階段を駆け下り、傘もささずに雨の中に消えて行った。

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