恋するplants
檜
★
「はい、ミルクティーだよ」
わらびが温かいマグカップを差し出してくれた。
バスタオルを頭から被り、枯れたはずの涙がまた流れ出す。
1人になりたくなくて台風の中、わらびの家まで来た。
びしょ濡れでわらびの住むマンションの部屋の前で立っていたら、どうしたの?と驚いて自分の部屋に通してくれた。
ミルクティーは雨に打たれて冷えた体をゆっくりと暖めてくれた。
甘くておいしい。
一息ついて、気持ちが落ち着くと、わらびがパジャマを持ってきた。
「落ち着いた?」
「・・・うん」
「パジャマ、わらびのじゃ小さいからママのね。シャワー浴びてきなよ。そしたらひのきんと何があったのか教えて」
わらびは大きな瞳でまっすぐに私を見た。
檜と何かあった?訊かなくてもわかっちゃうんだね。
くすんと鼻をすすると重たい腰を上げた。
シャワーを浴びてさっぱりすると、リビングにいるわらびの両親に突然すみませんとあいさつをした。
中学からお互いの家を行き来する仲なので、突然の訪問にもわらびの両親は温かく迎えてくれた。
何か食べる?と訊かれ、大丈夫です、と返す。
夕飯、結局そのままにして来ちゃって食べずじまいだったけど、食欲はなかった。