恋するplants


 けれど、私は桂さんに何も伝えていなかった。


 これで最後になるかもしれない。


 きちんと謝らないといけないそう思っていた。


 私の住む駅の改札口で会おうと約束すると出かける準備を始めた。


 家を出る時、空が曇っているのに気付いた。


 もしかしたら夕立ちがくるかもしれない。


 傘を持つと駅に向かった。



 駅の改札口ではすでに桂さんが待っていた。


 出逢った時と同じようなTシャツとジーンズに背中に大きなバックパックを背負っている。


 口元には痛々しくアザが出来ていて、唇の端を切ってしまったのか絆創膏が斜めに貼られていた。


 「そうしたんですか?その顔」


 慌てて駆け寄ると桂さんは片手を上げて久しぶりと笑った。


 いつもと変わらない笑顔だった。


 「ここじゃなんだから、ちょっと場所を変えようか」


 桂さんは私の質問には答えずバックパックを背負ったまま踵を返し、駅ビルの中へと向かった。


 
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