恋するplants


 駅ビルの屋上に私たちはやってきた。


 子供が遊べるような屋上遊園地があり、小さなメリーゴーランドや汽車、コインを入れて動くパンダの乗り物、休日にはヒーローショーが行われるステージ、テントの中はゲームセンターになっている。


 曇っているせいか閉園時間が迫っているせいか遊んでいる子供は両手で数えれるくらいしかいなかった。


 レールがぐるりと貼り巡っているミニSLの前のベンチに腰かけると桂さんは重そうなバックパックを下に置いた。


 「懐かしいな、こういう所って小学生の時、以来だな。クレープ売ってる・・・俺、食べようかな。きのこちゃんは食べる?」


 首を横に振ると桂さんは買ってくると立ち上がった。


 何事もなかったかのような桂さんのふるまいに混乱してしまう。


 口元のアザ。


 それにその大きなバックパックって・・・


 クレープの屋台から戻ってきた桂さんはクレープともう片方の手にはクリームソーダを持っていた。


 クリームソーダを受け取りお礼を言った。


 アイスクリームをつつきながら桂さんを伺う。


 桂さんは苺とチョコの入ったクレープをもぐもぐと食べている。


 「あの・・・そのアザ・・・」


 もう1度訊ねる。


 桂さんはあっという間にクレープを平らげると、


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