恋するplants
辺りが薄暗くなったところで駅の方から背が高く、見慣れた影が近づいてきた。
ゆったりとしたTシャツと5分丈パンツ、キャップを被るスタイルは間違いなく檜だった。
リュックを背負い、こちらを伺いながら橋へと向かって歩いてくる。
時間を確認した。
2時間の遅刻・・・でも、来てくれたことへの感動の方が大きかった。
檜は私の前で立ち止まると、気まずそうに視線を泳がせた。
「・・・ごめん。待った?」
ううんと首を振ると、嘘付けとすぐに突っ込まれた。
「檜、あのね・・・」
言いたいこと言わないと、頭では解ってるのに言葉が続かない。
あの・・・その・・・言葉に詰まる。
「後ろにあるの何?」
檜が私の言葉を遮って、私の後ろを指差した。
橋にもたれかかってる大きな花束。
向日葵の花束だ。
バイトのお給料を使って、花屋にあるだけの向日葵を買ったのだ。
大きな花束を抱えて、檜に向き直った。