恋するplants
「きのこ、俺のことで辞めて欲しいこととかあったら直接言ってくれよな。わらびには言えて俺には言えないの?俺、きのこの彼氏だよ」
「ごめんね。嫌われるのが怖くて」
檜は私を強く抱きしめると耳元でそう囁いた。
「嫌うわけないだろ。ここんとこ会えなくてマジ、しんどかった」
せっかくの花束が潰れちゃう。
花束を下に置き、檜は背負ってるリュックの中から何か取り出した。
「俺も向日葵の花束を渡そうと思ってたのに。超、ショボイじゃんか」
檜は向日葵が2本入った花束をぶっきらぼうに渡した。
去年の約束、覚えててくれたんだ。
胸が熱くなる。
「檜、まだ怒ってる?」
花束を受け取って檜を上目遣いに見上げると檜ぷくっと膨らませてそっぽを向いた。
「怒ってるし、一生忘れないと思う。でも、きのこを2時間も待たせちゃったし、おあいこだな」
そう言うと、檜は悪戯っぽく笑う。
その笑顔を久しぶりに見てホッとした。
「きのこは何で俺がこの夏休みアホみたいに働いてたと思うの?」
唐突な檜の質問に目を丸くする。
何で?そう訊くと今度は半ズボンのポケットの中から小さな箱を取り出した。
不器用そうに中から小さなリングを取り出すと私の左手にそっと嵌めた。